おがちゃんの部屋 - TC楽器 - TCGAKKI


第一話 A/Bボックス・ループセレクター・パラボックス編

個人的に昔からコンパクト・エフェクターがスキで知らない間にかなりの数になっていました。マルチ全盛の今だけど、相変わらず興味の尽きない小箱の魅力について語っていきたいと思います。まず最初に取り上げましたのはA/Bボックスとループセレクター、そしてパラボックスです。とても単純なものばかりですが、意外と店頭で質問されることが多いのです。しくみは知っていても実際どんな場面で使えば良いのかわからない方も多いようです。各々の便利な使い方について考えてみましょう。

A/Bボックス

でA/Bボックスです。代表的なものにDODの270(写真1)等があります。ちょっと配線が複雑になっているもありますが、基本的にギターなどからの信号をA又はBの出力に切り替える役目をします。そうですね、鉄道のポイントのようなものと言ったらわかりやすいですか。では実際にどんな場面で使えるのか考えてみましょう。

 

[1]2台のアンプを切り替える。[2]チャンネルを切り替える。[3]片方の出力をチューナーに送る。[4]2台のギターなどの楽器を切り替える。

 

 まず、一番目の2台のアンプの切り替えに使うというのは多分想像できると思いますが、

例えば出力Aにローランドのジャズ・コーラス(写真2/JC-120)のようなクリーンなアンプを繋ぎ、出力Bにマーシャルなどの歪みの強いアンプを繋いでバッキングはJCのクリーン、ソロはマーシャルのディストーション・サウンドなどと使い分けます。

 また応用として片側のJCへの出力にコーラスなどを繋げばいっそう効果的です。

 

二番目のチャンネルの切り替えに使うというのは、最近のアンプにはチャンネル切り替え用のフットスイッチが装備されているので実用性は低い

かも知れませんが、例えばフェンダーのツインリヴァーブ(写真)やJC-120のようなチャンネル切り換えが出来ないアンプには有効なのです。

 A、B各々の出力を各々のチャンネルに繋いでおけばA/Bボックスのフットスイッチを踏むだけでチャンネルの切り替えが可能です。

 

三番目の片方をチューナーに送るというのは結構ポピュラーで実際やっている方も多いと思います。確かに便利でオススメのセッティングです。なぜかと言えば、ライブの時など誰でもチューニングの狂いには気を配りますよね。多分皆さん曲間のちょっとした間にチューニングすると思いますが、度々その音でMCを邪魔していては折角の盛り上がりに水を差してしまいかねません。そんな時A/B ボックスを使えばアンプの音はバイパスしてさり気なくチューニングが出来ます。(ボリュームペダルのチューナーアウトも同じように使えます。)

 

四番目の2台の楽器の切り替えに使うというのは一般的ではないかも知れません。本来の接続とは逆に繋ぐのです。つまり本来のA、B各々の出力にギター等の楽器を繋いでしまいます。例えばエレキとエレアコでも良いでしょう。そしてインスト入力にアンプを繋ぎます。予めふたつの楽器にシールドが繋がっているので持ち替えはA/Bボックスのフットスイッチを踏むだけです。非常にすばやく楽器をチェンジすることが可能です。

ループセレクター

次はループセレクターです。そうですね、各メーカーから発売されていますがBOSS のパワーサプライ&マスタースイッチPSM-5やSOBBATのAB BREAKER(写真3)等を使っている方が多いですかね。機種によってループがふたつあるものやA/Bボックスの機能も併せて持つもの、バッファー内蔵タイプ、パワーサプライ内蔵タイプなどもあります。基本的にSEND(送り)とRETURN(戻り)の端子があります。使い方ですがSENDとRETURNの間に幾つかのエフェクターを挟んで使います。

 

効果はループ内のエフェクターを全てオンにしておけばループセレクターのループ・オン/

オフスイッチを踏むことで、ループ内の全てのエフェクターを一度にオン/オフすることが可能になります。例えばソロでディストーションとフランジャーを一度にオンにしなければいけなくて各々のエフェクターのスイッチを踏むのに大変な思いをしたことはありませんか?ふたつならまだしも三つ以上になると非常に困難だし肝心な演奏以外に余計な神経を使ってしまいます。またエフェクターは好きだけれども、たくさん並べて音質の劣化が気になるのでオフの時は完全にバイパスしてアンプ直にしたい人にもオススメです。

パラボックス

最後はパラボックスです。BOSSのマルチプル・ジャックJ-5(写真4)が代表的です。簡単なしくみです。ひとつの信号を複数に分ける働きがあります。


アンプを複数台使ったり、アンプのスピーカー出力端子に複数台のスピーカーを繋げたり(※アンプの出力負荷インピーダンスとスピーカーのインピーダンスに注意してください。)、また裏技でパラボックスでふたつに分けた信号をツインリバーブやJC-120等のチャンネルが独立しているタイプのアンプの各々のチャンネルのインプットに繋ぎます。こうすることで特性の異なるふたつのチャンネルをミックスすることが可能となり、各チャンネルのセッティング次第で音作りの幅が広がります。

 

 

第二話 歪みもの編

はーい、二回目です。好き勝手に書かせて頂いておりますが、よろしくお願い致します。いきなりですけれどエレキ・ギターの世界って誕生して半世紀以上の間、あまり根本的なところは変わっていませんよね。何でも変われば良いとは言いませんが、世界で一番売られているであろうキブソンやフェンダーのエレキ、相変わらず主流はレスポールやストラトです。アンプなんか、デジタル・モデリングタイプも脚光を浴びてきましたが、まだまだ主役は真空管アンプです。何から何までデジタル化された世の中にあって、これだけレトロな世界も珍しいですよね。

 話は逸れますが家庭用のアナログ回線の電話機、最近こそISDNの普及で姿を消すのも時間の問題ですけれど、あれもまさに20世紀の遺物ですね。あの頼りないモジュラー・コードを見ると悲しくなります。多分、エレキ・ギターは地球上、最後のアナログ製品になるのでは?! 確かにデジタル抜きで現代の音楽を語ることは出来ません。これから続々とヴィンテージ・アナログ機材のサウンドをリアルにシュミレートしたデジタル・モデラーが出現するでしょう。そのサウンドは限り無く本物に肉迫してくると思いますが、本物のアナログ機材の持つ暖かみや雰囲気などは表現出来ない気がします。数値的なところでいくら同等になったとしても、必ず満足出来るとは思えません。多分、音楽って感覚の上で成り立っているのだし、かなり個人の嗜好が反映された一種独特な世界だからではないでしょうか。

 

さて本題に入ります。歪みについて考えてみましょう。一般にアンプとギターで得られ歪みをオーバードライブ・サウンドといいます。アンプのボリュームを最大付近にして過剰負荷状態にして出します。少し歴史の上から考えてみるとオーバードライブ・サウンドの起源は諸説あり自分もはっきりしたところは知りませんが、決定的だったのはブルース・ブレーカーズでのエリック・クラプトンのサウンドです。レスポールとマーシャルJTM-45コンボで出したオーバードライブ・サウンドは衝撃的で多くのギタリストが追従しました。

 ところが当時のギター(フェンダーのテレキャスター等)のピックアップはパワーの低いシングルコイルが多く、アンプもマーシャルほど歪まないフェンダー等が多かったので同じような歪みを得ることは出来ませんでした。そこで出てきたのがブースターです。ギター出力のゲインを上げて、アンプの負荷を重くして歪みの少ないクリーンなアンプを強引にオーバードライブさせるのです。また、更に過激な歪みを求める人達は、歪みやすいマーシャル等と併用しました。

 第3期ディープ・パープルのリッチー・ブラックモアは、マーシャルの生みの親であるジム・マーシャル自らがパワーアップしたマーシャル・アンプと併用していたらしいし、クイーンのブライアン・メイは、ハンドメイドのトレブル・ブースターをヴォックス・アンプと併用していました。

 また60年代後半になるとアンプに頼らず歪みを作り出すファズ・ユニットが登場します。ファズを使えば、アンプのオーバードライブとは比べものにならない深い歪みが出せ、驚異的なロング・サスティンが得られました。時代により増幅素子にゲルマニューム・トランジスタやシリコン・ダイオードなどを使ったものがあります。

 代表的なものにエレクトロ・ハーモニクス(通称エレハモ)のBIG MUFFやダラス・アビターのFUZZ FACE、カラー・サウンドやヴォックスのTONE BENDER等があります。とにかくハイ・ゲインで音の粒だちが荒く、バリバリした感じが特徴です。コードを弾いても各弦の分離が悪く、音の塊になってしまうものもありました。特に初期のゲルマニューム・トランジスタ使用のものは音の粒だちが荒いようです。アンプをオーバードライブさせた感じとは全く次元の違う音でしたが、ファズは多くのミュージシャンに歓迎されました。今や伝説となったギタリスト、ジミ・ヘンドリックスのサウンドは、ファズ無しでは語れません。かのジェフ・ベックやツェッペリンのジミー・ペイジだって、マーシャルのナチュラル・オーバードライブとファズ・サウンドを使い分けていました。

 名実ともにディストーション・ユニットが本格的になるのはMXRのDistortion +が現れてからです。従来にないコンパクトでしかも頑丈なダイキャスト製のケース、飛躍的に伸びた電池寿命など、MXRらしい素晴らしい製品でした。が、それ以上に驚いたのはそのサウンドでした。これまでのどのディストーション・ユニットよりも、アンプのオーバードライブ・サウンドに肉薄していたのです。ドライブとレベルだけのシンプルなコントロールはアンプやギターの種類を選ばず、ピッキング・ニュアンスの出しやすいサウンドは、最初ロック・ミュージシャンよりも、どちらかといえばフュージョン系のミュージシャンに歓迎されました。かなり強い歪みも得られましたが、ギターのボリュームを絞るとかなりウォームかつエッジの立ったディストーションも得られました。悲劇のギタリスト、ランディ・ローズはこのDistortion+を愛用していました。

 さてサウンド的に画期的だったDistortion+のライバルはボスから登場しました。オーバードライブOD-1です。ジェフ・ベックがステージで使用して”マーシャル・サウンドのようだ”などと絶賛、現在のオーバードライブ・ユニットの元祖の誕生です。しかし Distortion+ に慣れたミュージシャンにはOD-1の音は多少物足りない感じがあり、この頃からハードな歪みの「ディストーション」とあくまで柔らかな「オーバードライブ」という具合に、同じ歪み系エフェクターでも、サウンドの違いにより分けられるようになりました。現在はアナログ方式に加え、デジタル方式のハイブリットなものも出現し、多くのメーカーが新規参入して市場を賑わせています。また、真空管アンプのプリアンプ部をそのまま取り出したようなチューブ方式もいくつかあり、そのウォームでマイルドな味わいも魅力です。

 最後にブースター、ファズ、ディストーション、オーバードライブの代表的なものをいくつかピックアップしておきましょう。

1.

ブースター:ヴォックス TREBLE-BASS BOOSTER、エレハモ LPB-1 etc

2.

ファズ:エレハモ BIG MUFF、ダラス・アビター FUZZ FACE、ヴォックス Tone Bender etc

3.

ディストーション:MXR Distortion+、プロコ RAT、マーシャル The Guv'nor、ボス DS-1 etc

4.

オーバードライブ:ボス OD-1、アイバニーズ TS-9、DOD 250、チューブ・ワークス TUBE DRIVER etc

 現在、マルチ・エフェクターやデジタル・モデラーなどが全盛ですが、今回はコンパクト・エフェクターに絞って話を進めさせていただきました。自分にとってコンパクト・エフェクターは、とても単純なのですがとても奥が深く興味が尽きない、また頭を悩ませる代物です。色々な機種が数多く出ていますので、自分に合ったものを探すのは容易ではありません。自分の出したいサウンドのイメージはあると思いますが、実際は使用しているギターやアンプとの相性もありますからそう簡単ではありません。同じボスのOD-1を使っても、アンプがマーシャルの場合とJCの場合では、出てくるサウンドは全く別ものです。自分も今まで長年、色々試してるうちに数多くの歪みものを所有する羽目になりました。

 基本的に自分は、アンプの歪みが好みです。マーシャルをブースターでフル・ドライブした時のサウンドが大好きなのです。お気に入りは、MXRのmicro ampです。これをブースターとして使っています。たいていのブースターは、オンにすると音色が変わったり、つまみの位置がゼロなのにゲインが上がったりして使いにくいのですが、micro ampは音色も変わらず、つまみがゼロの位置で原音がそのまま出力されるのです。そこから徐々につまみを上げるに従って、好みのゲインを得ることが出来るのです。しかし、いつも自分のアンプが使えるとは限りません。もし、JCしか無かったら… なんて考えると、代わりになるディストーションやオーバードライブが欲しくなります。突き詰めると難しいですよね。妥協も必要かな?でも、あれこれ悩むのも楽しいものです(おたくの世界!笑)。

 

エレクトロ・ハーモニクス LPB-1、

ヴォックス TREBLE-BASS BOOSTER

 

エレクトロ・ハーモニクス BIG MUFF、

ヴォックス Tone Bender、

ロジャー・メイヤー CLASSIC FUZZ

 

 

 

 

MXR Distortion+(復刻)、

マーシャル The Guv'nor、ボス DS-1

 

ボス OD-1

 

 

 

 

アイバニーズ TS-808

 

アイバニーズ TS-9

 

 

 

 

 

MXR micro amp

 

 

 

 

 

 

 

第三話 歪みもの Part 2 アンプ編

個人的に昔からコンパクト・エフェクターがスキで知らない間にかなりの数になっていました。マルチ全盛の今だけど、相変わらず興味の尽きない小箱の魅力について語っていきたいと思います。まず最初に取り上げましたのはA/Bボックスとループセレクター、そしてパラボックスです。とても単純なものばかりですが、意外と店頭で質問されることが多いのです。しくみは知っていても実際どんな場面で使えば良いのかわからない方も多いようです。各々の便利な使い方について考えてみましょう。

1.電圧の話 

アンプやエフェクターの駆動電圧には諸国の電力事情により、日本の100V、アメリカ等の117~120V、ヨーロッパの220~240Vの仕様があります。アメリカ等の117~120V仕様は、結構日本でそのまま100Vで使用される方が多いようです。事実、最近はどうなのかわかりませんが、ハード・ロックで有名なイギリスのM社のアンプは昔、アメリカ仕様の製品の117~120Vの電圧表示パネルの上に輸入代理店の100V表示のステッカーを貼っただけでした。たいして問題はないのかも知れませんが、やはり正規の電圧で鳴らす方が本来の音が出ると思います。音の張りが違うようです。もし電圧が異なる輸入アンプを使う場合、100V→120Vや100V→240Vなどに昇圧するステップアップ・トランスや任意に変圧出来るスライダック等を使用します。注意点として使用するアンプ等の消費電力を考え、余裕のある容量のものを使います。

反則技ですが、既定より低い電圧で鳴らすとどうなるのでしょうか?はい、俺、いや私は試しましたよ。自分のマーシャルJCM800の1959と同1982Aにレスポールを繋ぎまして。まず、電圧を下げるにはどうするか。スライダックは持っていなかったので、ホームセンターの照明器具の売場で輝度調整用のコントローラーを買ってきました。これは、すごい簡単なスライダックのようなもので電圧を0~100Vの範囲で変化させられます。で、効果はというと少し電圧を下げていくと、歪みが増えて少しアタックが弱くなりハイが落ちてマイルドになりました。感じとしては、BOSSのOD-1を通したみたいな感じですか。ブルージーでなかなか使える音ですよ!たしか昔、TNT(古いね…笑!)のギターの誰だっけ?!ロニー・レテクロっていいましたっけ?彼がやってましたよ、117V仕様を80~85V位に落としていたらしいです。ここで普通ではない私は、馬鹿な?!思い付きでエフェクターでも試してみたのです。さて何をしたかというと、Maxonのコンプレッサーの電圧を下げてみたのです。下げ過ぎるとノイズが出たり作動しなくなったりとても微妙なんですが、良い感じの歪みのディストーションになりました。

実はそれ以前にも、電池が切れかかった時に歪んでくることに気付いてはいたのですが。逆に既定より高い電圧で鳴らすとどうなるのでしょうか?さすがに恐くて自分のアンプでは試せませんでした。
初期のエディー・ヴァン・ヘイレンは、117V仕様のマーシャルを最高135Vで鳴らしていたそうです。さすがにワン・ステージ終えると、真空管は爪ではじいて割れてしまうほどだったそうです。今では最高のハードロック・サウンドと言われているVAN HALENのファースト・アルバム『炎の導火線』。あの明るく張りのある切れの良いハード・ドライビング・ギターの秘密は、こんなところにもあったようです。

2.音量コントロール

対決シリーズの中でも触れましたが、マーシャル等の真空管アンプは音量を上げることで出力管が十分ドライブされ本来のサウンドを出せるように設計されています。たとえマスター・ヴォリューム付のモデルでも同じです。だからといって、そうむやみに音量を上げたりするとバンドのアンサンブルを崩してしまうばかりか、人間関係までも悪化させかねません。そこで登場するのが、スピーカー・アッテネーターです。ようするに抵抗器なのです。接続の仕方は、アンプのスピーカー出力端子とスピーカーの入力端子の間に挟みます。アンプのヴォリュームは、最適なサウンドを得られるところまで上げます。そしてスピーカー・アッテネーターの出力レベルの調整ツマミで音量をコントロールするのです。

スピーカー・アッテネーターには、ROCKMAN Power SoakやPMG(昔はPMP!) HSK、Marshall POWER BREAK、最近ではTHD Hot Plateなどがあります。大体のモデルがライン・レベルの信号を取り出す機能も持っています。また、更にスピーカー・エミュレーターを内蔵したPalmer PDI-03やMarshall SE-100などがあります。これらは、スピーカーをシュミレートしたライン・レベルの信号をミキサー等に送れます。ほとんどが抵抗式ですが、トランス式のExーproのDM-1やDM-05もあります。
 これらを使用する上での注意点は、アンプの出力インピーダンスに必ず合ったものを使うということです。合わないものを使用すると、過度にアンプに負担を掛けてしまいます。試して頂ければわかって頂けると思いますが、パワー・チューブが十分ドライブした音は気持ち良いです!ただし、ある程度の音量を出さないとスピーカーの鳴りが悪いです。

またここで脱線します。マーシャルの話ですが、JCM900シリーズなんかはパワー・セレクトで出力を100W→50Wといった具合にダウンさせる機能があります。JCM800以前のマーシャルをお持ちの方、パワーを半分に下げることが出来ます。100Wの場合のみなのですが、4本の出力管のうち真ん中の2本か外側の2本を外します。必ず、その組み合わせで外して下さい。そして16Ωのキャビネットをお使いならアンプの出力インピーダンスを8Ωにセット、8Ωのキャビなら4Ωにセットします。これであなたの100Wのマーシャルも50Wです。ただし、本来100Wで設計されたものですから50Wのモデルとサウンドは全く同じにはなりませんので御注意を!また実践される方は、あくまで自分の責任においてやってください。もしヘッドを壊したりしても当方は一切関知しないのでヨロシク!

 

3.ゲイン・アップ

アンプとギターだけでナチュラル・オーヴァードライブ・サウンドを出している方は、おわかりだと思いますが、なかなか思ったような歪みが得られなかったり、歪みが足りなかったり…。そこでピックアップをよりハイパワーのものに交換したり、ブースター等でゲインをアップしたりしますよね。自分は両方やっていますが、私の考えではブースターは音色を変えずにピュアにゲインのみをアップ出来るものが望ましいと思っています。仕事柄色々試す機会はありますが、なかなか良いものに巡り会えません。ディストーションやオーヴァードライブ系は、そのモデル特有の音色を持っているものがほとんどで納得出来ません。割と気に入っているのは、MXRのマイクロ・アンプ、PMG BUF等です。あとVOXの1Uのラックですが真空管式のバルブ・エフェクツ・ループ・バッファーV941というモデルなんですが、これのループのSENDとRETURNを短いシールドで繋ぎ、SEND LEVELツマミでブーストすると音が太くて最高に気に入っています。私はブースターをアンプのプリアンプの一部として考えますので、極力アンプに近い位置に繋ぐようにしています。簡単に言えば、プリ管を1本増設したような感じですか。

 

4.SEND-RETURN

アンプのSEND-RETURNには、通常は空間系のエフェクターを繋いだりします。このループの位置というのはアンプのプリアンプ部とパワーアンプの間にあります。プリで歪ませても空間系が濁らないようにとの配慮なのです。ようするにSENDとはPRE-AMP OUTPUT、RETURNはPOWER-AMP INPUTなのです。おわかりの通り、前者は信号をミキサー等に送ったり、他のパワーアンプに送ったり出来ます。後者には他のプリアンプを繋いで鳴らしたり出来ます。最近、はやりのPODやDG Stompなどのシュミレーターをプリアンプとして使う時も後者に繋げば良いと思います。

 

5.リンク・トップ

マーシャルの4インプット(対決シリーズ『JC-120 vs JCM800』参照)は、写真のように繋ぐと2つのチャンネルをミックス出来ます。重圧なサウンドが得られるので、特にストラトなどのシングルコイル系のギターを繋いだ時に効果的です。更に残ったジャックから他のアンプのインプットに繋げば、複数のアンプを鳴らせます。

 これには利点があり、万が一ライブ本番中に一部のアンプが飛んでも他のアンプは問題無く作動します。もちろんマーシャルの4インプットに限らず、他社の2インプットでも可能です。ほとんどのアンプにはHighとLowの入力端子があると思いますので、Highにギターからのシールドを繋ぎLowから他のアンプに繋いで下さい。

 

 

第四話 クールな逸品をご紹介編

 

 

 

最近、THE中古楽器屋に入荷したスグレモノ・ギヤーを

ご紹介しましょう。

 

 

KOCH Pedaltone (定価 ¥85,000-)SOLD 

最近、高品質のチューブ・アンプMULTITONEやPOWERTONE等で話題のオランダの新興ブランドKOCH(コッホ^O^)のチューブ式フット・プリアンプです。まだ新製品ですから、新品同様でこの価格で手に入れられるのは絶対お得です!

 

どことなくMESA BOOGIEのV-TWINに似てるのはご愛敬!(でしょ?!笑)とにかくでかい!重戦車のような迫力があります。その訳は、なんと12AX7真空管を4本搭載!!クリーンとドライヴの完全2ch仕様でch1のクリーンにはON/OFF可能なエンハンサー、ch2のドライヴにはブースターまで装備しています。リズムとソロ用に各レベル設定が可能な切り替えスイッチ付。驚きなのは、0.5W出力のオールチューブ・パワーアンプまで搭載しているからどんな種類のアンプ(普通のトランジスター式のギター・アンプなんか)に繋いでも真空管独特のコンプレッション・サウンドは損なわれません。好みでON/OFFも可能です。そしてレコーディング・アウトとヘッドフォン・アウトにはスピーカー・シュミレーターまで搭載し泣く子も黙る状態!音痩せを考慮しバッファー・アンプ搭載のエフェクト・ループ!なんてゴージャスなんだ!!

で音はと言うと… 実に自然でエフェクト臭さが無い!チューブ式フット・プリアンプなんて一言では済まされないクオリティーの高さです。コンプレッションが気持ち良いクリーンからクランチもご機嫌だしエンハンサーをオンにすればグッと音が前に出てくるし、トーンの効きも良いからマーシャルやブギー、フェンダー等あらゆるトーンが再現できます。とことん余裕有るハイゲイン設計でかなりハード・ドライヴィン・サウンドまで可能です。ブースターなんか踏んだ日には脳天突き抜けリード・サウンドでオーディエンスはイチコロです。俺のV-TWINと交換したい(笑)。でもほんとに、最近お気に入りのJCM2000っぽい音も出るしマーシャル派の自分としてもかなり気になる逸品です。

 

 

 

第五話 アナログディレイ特集

テープ・エコー風のリピート効果、リヴァーブ的な残響効果が得られる。温かみがあり、柔らかで耳当たりの良い響きは、アナログ・ディレイの特徴として独特なテイストを醸し出しており、魅力的なポイントになっています。

デジタル全盛の今だからこそ、お試しの価値大です!

BOSS

DM-2 Delay

S/N #258600 元箱付 SOLD

81年5月に登場。ディレイ・タイムは20msec~300msec。

現在ではヴィンテージ市場で高い人気を誇ります。

BOSS

DM-3 Delay

S/N #433200 SOLD

完璧なDM-2がさらに進化。ステレオ・アウト装備。

Maxon

AD-80 ANALOG DELAY

S/N #102852 元箱付 SOLD

S/N #103918 SOLD

ディレイ・タイムは10msから300msまで可変で、リバーブ的効果からフル・エコーまで自由自在。006P2本による18V駆動です。

MXR

analog delay

'78 SSOLD

'80 (DELAY ONLY OUT装備) SOLD

当時新品価格10万円のアナログ・ディレイの元祖的モデルです。AC駆動による太い音色が魅力です。

DOD

ANALOG DELAY 680 '81

SOLD

インギー使用のOverdrive Preamp 250で有名なDODのアナログ・ディレイです。RETICON社製のBBD(遅延素子)搭載。独特な出力系でピンポン・ディレイも可能です。

electro-harmonics

DELUXE MEMORY MAN EH1307 '77

SOLD

ディレイ・タイムは15msから400ms。アナログ・ディレイの他に、コーラスと早い揺れが特徴のヴィブラートを選択使用可能。

electro-harmonics

STEREO MEMORY MAN EH7811B

'81 SOLD

'81 SOLD

最長300msのディレイ・タイムを持つステレオ・アナログ・ディレイ。独特な深みのあるコーラス効果も併せ持ちます。

MORLEY

Anolog Echo Reverb E80's

SOLD

スティーブ・ヴァイ使用の先進的ワウ・ペダル”Bad Horsie Wah”で有名なモーリーのアナログ・テイストいっぱいのペダルです。。

 

 

 

第六話 最近の独り言..

おかげ様で最近コンパクト・エフェクターが飛ぶように売れています。けっこう若い子たちが、かなり古いレアものを買ってくれたり、根っからのコンパクト好きの自分としてはかなりにんまり(^-^)です。こないだ、若い売り出し中のバンドの子が来て、プロデューサーに「TC-GAKKIへ行ってOD-1買ってこい!」と言われたそうで(^O^)、初期のクワド・オペ(NECμ4741C)ものと後期のデュアル・オペ(JRC4558DD)もの数台を試した後、一台購入してくれました。オペアンプの違いは大きいですよ、もちろん他にも抵抗値やら何やらいろんな要素がありますけど。

ちょっと前にうちのリペアのヨッシーに自前のアイバニーズのTS-9DXのオペアンプを交換してもらいました。オリジナルのままでもかなり気にいっていたのですが、基本的な歪み自体をもっと滑らかにしたくて、やっぱTS-808と比べても遜色ないくらいに!ヨッシーが載せてくれたオペアンプはJRC4558DD!4558Dよりさらにスムースになるはず\(^O^)/結果はすばらしいの一言です。TS-9モードで天下のTS-808(JRC4558D)と渡り合ってみましたが、音の滑らかさや抜けは自分の耳では違いがわからないほど!

 ヨッシーに感想を報告したら、入出力の重要部分の配線材もビンテージの抜けの良いものに交換済みとのことでした。さらにモードつまみを一段回して+にすると歪みの感じそのままにミッド・ブーストがかかります(これが◎!!)。その上のモード二つは別世界(怖い、、)です。ただ、一段一段ゲインの上がり幅が少し大き過ぎる感があるので改良の余地有りです。ヨッシーは、今は無き六絃ブランドを立ち上げていたギター・ビルダーですが、エフェクターの製作・改造においてもすごいものがあります。その辺のご相談にも乗りますので興味のある方はお気軽にどうぞ!


話は変わりまして、最近、フルトーンの'01年製フルドライブ2が入ったんですけど、あら(・・?)ちがう!だいぶサウンドが変わっていました。たまたま、'97年のオレンジのやつがあったので弾き比べてみました。

うーん、サウンドがよりブライトになって、歪みの質感が荒く!!なっていますぞ。残念なことにTS-808ライクなウェットな音の艶や腰が、ぜんぜん無くなってしまいました。モデル名は変わっていませんが、別物ですね。外観は鮮やかなブルーとフット・スイッチの形状が変わったくらいですが、やっぱ中の基盤を見たらずいぶんと変わっていましたね。

かなりアバウトだった基盤も整然としたプリント基板に変更されていました。好きなモデルで、結構人にすすめていたのでがっかりです(><)。

 まぁフルトーンに限らず、大なり小なり仕様の変更ってありますね。生産効率やコスト面での制約とか、、色々あるんでしょうけど。そうそう、突飛なエフェクトで話題のZ-VEXだって、昔はポイント・トゥ・ポイント配線だったけど今はやはりプリント基板だしね。でも、ハンド・ペイントしてるから許しちゃうか(笑)。

最後に結構お問い合わせの多いBOSSのOD-1の仕様についてまとめてみました。ちょっとマニアックな世界ですが(^o^)。

BOSS OD-1 Over Drive

<シリアルNOと仕様の関連について>

#8200

銀ネジ/052-281B/RC3403ADB/透明SW/LEDは踏んだときのみ点灯/"OD-1"は"r"下より

#8700

銀ネジ/052-281B/NEC JAPANμPC4741C/黒SW/LEDは踏んだときのみ点灯/"OD-1"は"r"下より

#080200

052-281D/NEC4558C/ 黒SW/LEDはON時常時点灯/"OD-1"は"r"下より

#113400

052-281D/JRC4558D/黒SW/LEDはON時常時点灯/"OD-1"は"r"下より

#466800

52-281E/JRC4558DD/黒SW/LEDはON時常時点灯/"OD-1"は"i"下より

#549100

052-281E/JRC4558DD/黒SW/LEDはON時常時点灯/"OD-1"は"i"下より

#880341

052-281E/JRC4558DD/黒SW/LEDはON時常時点灯/"OD-1"は"i"下より

#922060

052-281E/JRC4558DD/黒SW/LEDはON時常時点灯/"OD-1"は"i"下より

 

これは、最近のTHE中古楽器屋の在庫からの調査です。

左から、製造番号(製造時期を意味します)、銀ネジ(黒ネジは省略)、基盤番号、オペアンプ(IC)型番、FETスイッチの色、LEDの仕様、OD-1ロゴの位置になります。初期は、レイセオンのオペアンプでしたが、故障が多かったらしいです。音的には、2期のNEC μPC4741C仕様のものが人気ありますね。OD-1って、単体だとミッドが強くてこもり気味な感があるんですけど、マーシャルなんかドンシャリ系アンプと組み合わせると弱い中域をプッシュ出来てグッドですよね。個体差もあるから、OD-1をお探しの方はたくさん試奏してベストなものを探してください。

 

 

第七話 ループ・ボックス編再び!編

ご無沙汰しております。皆さんいかがお過ごしですか?自分は厳しい寒さと花粉症の脅威に怯える毎日であります。少し前にTC-LIVEで久々のライブ・ステージを踏ませていただきました。前回はハード&ブルース・バンド"ホワイト・スモーク"の一員でしたが、今回はパンク・バンド "☆ウサコレフレンズ☆"の一員でした。自分の出来はともかく(^^;)、楽しいひとときでした。お寒い中ご来場頂きました皆様方、大久保「ホット・ショット」様、他関係者各位にお礼を申し上げますm(__)m。

A/Bボックス

ところで今回のセット・リストは歪んだサウンドとクリーンでコーラスの掛かったサウンドのチェンジが頻繁にあって、コンパクト(エフェクター)派の自分は素早いチェンジのために(不器用なために!)直列結線では無理と判断してループ・ボックスの力をお借りしました。

 登場していただいたのは、Freedom A/B LOOP SWITCH BOXです。これは2つのループ(A&B)を持ち、A/B切り替えスイッチとバイパス・スイッチを装備しています。これをギターとクリーンにセッティングしたアンプの間にセット。 れでA/B切り替えスイッチを踏むだけで一瞬の内にサウンド・チェンジが可能!!

ループ・ボックスを使用しない場合は複数のエフェクターを同時にオン/オフしなくてはならず、これはメチャらくちんです!細かくは歪みはRATで創りソロでさらにブースターとしてGain Helperもオンにする、クリーンはコンプ+コーラスといった案配です。(図1) ループ・ボックスのループにノイズが多かったり音痩せの激しいヴィンテージ・エフェクター等を入れてしまえば、エフェクターを使わないときにロスを最低限に抑えられるのでアンプ直派の人にもおすすめです。最近はループ・ボックスといっても多種多様な機種がリリースされています。今回はその中でも自分のおすすめの3機種をご紹介させていただきます。

1.Freedom LOOP SWITCH BOX

まずはFreedom LOOP SWITCH BOXですが、すでに前出のように2つのループ(A&B)を持ち、A/B切り替えスイッチとバイパス・スイッチを装備しています。パッシブ回路でバイパス時は完全スルーになっています。

2.Providence P-2LD

次にProvidence P-2LDですが、こちらは2つのループ(1&2)の他にA/Bボックスの機能も備えますので、さらにアンプ2台の切り替えや信号をチューナーに送ったりといったことが可能です。Freedomと違い1/2のループの切り替えではなく、それぞれのオン/オフ・スイッチとバイパス・スイッチ、A/B切り替えスイッチを装備しています。こちらもパッシブ回路でバイパス時は完全スルーになっています。

3.sobbat A/B Breaker

後のsobbat A/B Breakerは、Freedomと同様に2つのループ(A&B)を持ち、A/B切り替えスイッチとバイパス・スイッチを装備しています。ただし、こちらはアクティブ回路でA/B Breakerを通る全ての信号が内蔵のバッファー回路を通ります。わずかな音質の変化はありますが、信号がロー・インピーダンスに変換されてシールドを長くした際などのノイズや音質劣化を少なくするメリットがあります。

 

他にも一番目にすることが多い?!BOSS LS-2 LineSelectorのように各ループの出力を調整できるものあります。これだとループに繋ぐエフェクターのレベル補正が可能だし、各ループに音量差を付けたりといったことが簡単にできます。ループ・ボックスは積極的にサウンドを創り上げるエフェクターと違い地味な存在なのかも知れませんが、とても実戦的で(ライブ向きの)強力なアイテムです。ご興味ある読者の皆様には、是非各自の使用用途にピッタリのモデルを探し出していただきたいと思います。

余談ですが、ハノイ・ロックスのライブ!!(^^)/ チケットをGET出来たんですよ!楽しみ~!!!

 

 

 

第八話 ちょこっとコアなペダル・エフェクター特集編

久々すっ!お元気ですか? もう結構前の話になりますが、赤坂ブリッツにて「ハノイ・ロックス」を体感してきました!ステージの直前、アンディー・マッコイの前あたりだったのでエキサイトした群衆の下敷きになって死んじゃうとこでした、、(^^;)。かなりラフなプレイでしたけど、めちゃくちゃ元気でしたね~!!特にモンちゃんのカッコ良いこと!ドハデな衣装にもぶっ飛びましたがね。いや~生の「トラジティー」サイコー!(^^)/ さらには最近結成した自分らのニュー・バンドでハノイのナンバーをカバーしてまして、早くもライブが楽しみなのです。いやはや、子供のようなはしゃぎようでお恥ずかしい、、歳はとっても音楽の趣味だけは変わりませんね~(笑)。

さて今回は、THE中古楽器屋スタッフが遠く離れた異国の地で汗と涙を流しつつ、やっとのことで発掘してきた珍しい'6~80年代のペダル型エフェクターを数機種ご紹介させて頂きます。当時のマルチ・エフェクターと言えば大げさな、精々ワウとファズ等を合体した程度のものなのですが(笑)。そういえば、最近発売された歪みとワウの複合エフェクターであるボスのV-WAH PW-10の元祖とも言えるようなエフェクト・ペダルだと私は思います。

'71 National FUZZ WAH PEDAL MODEL. FW939 SOLD

まず最初は、日本の新映電気が'71年(昭和46年)に製作したワウ・ファズです。ブランド名こそナショナルになっていますが、ジミ・ヘンドリックスが愛用したユニ・ヴァイブを製作したことで有名な新映製です。当時、新映電気はオリジナル製品の他、多くのメーカーの依託を受けて数々のエフェクターを世に送り出していました。

 ペダル部分は後期のユニ・ヴァイブのペダル部品の流用ですね。ファズの回路はユニヴォックスのSUPER-FUZZと同じようです。歪み具合とレベルのつまみ、通常のファズとオクターブ・ファズを切り替えるスイッチを装備しています。先端のスイッチでファズのオン・オフが、ペダルを強く踏み込むことでワウのオン・オフができます。

ファズ・サウンドの方は非常にエキセントリックであり、シリコン・トランジスタ仕様で歪みの粒立ちが粗いながらもロング・サスティーンが得られます。オクタビア風のファズ・サウンドも得られますので、ジミのように金切り声のようなソロもバッチリ決められるでしょう。さらにワウと組み合わせることにより、非常にエモーショナルなバッキングやソロが演出できる強力なエフェクターです。

M'70s Ibanez STANDARD Wau Fuzz ¥58,000- 税込み ¥60,900-

さて次は珍しい'70年代中期のIbanezのワウ・ファズです。「Ibanez」は、「Maxon」のブランドでお馴染みの日伸音波製作所製の輸出ブランドです。他に「MICA」というブランド・ネームでも海外に輸出されています。当時、日伸音波製作所はエフェクターの他に富士弦楽器製造(株)向けにエレクトリック・ギター用ピックアップを製作していました。とても国産とは思えない大胆なルックス!!

 まずそのファズ・サウンドの方はシリコン・トランジスタ仕様であるのに、まるでゲルマニウム・トランジスタ仕様のような極端に押し潰された(圧縮された)ような粗い歪み音でコードを弾くと音の塊になってしまい、極端な話7thも9thも関係なしって感じの強烈なファズ・サウンドであります(^^;)。無難に単音弾きにオススメします。コントロール系は手前の2つのスイッチの右側がファズのオン・オフで左側がファズ・トーンの切り替えです。ドンシャリ系とミッドブースト系のトーンが択べます。どちらもハイポジションにおいて、アッパー・オクターブ音がかなり目立ちます。そして右側のつまみがファズの歪み具合、左のつまみがファズの出力コントロールになります。

またペダルの先端を強く踏み込むことによりワウのオン・オフができます。ワウ・サウンドは可変幅、踏みしろ共に大きく、非常に大きなワウ効果を得られます。ペダルを上げた際にはかなりブーミーなところまでいきますし、反対に踏み込んだ際は耳に痛いほどのヒステリックな雄叫びを上げられます。ファズと同時に使用するとまるでトーキング・モジュレーターのようなお喋りサウンドが得られます。

 ちょっと使い方が難しそうですが、ここぞと言うときには非常にインパクトのある効果が得られそうですね。

☆追記☆

 ほとんど同じデザインで、MICAの「WAU-WAU-WAILER SG-17C」やGuyatone の「WAH-FUZZ FS-5」、ELKの「WAU FUZZ WF-1000」なども存在します。すべて日伸音波製作所のOEMによるものです。

 でもIbanezの「FUZZ & WA」はFOXXのOEMでしたし、エフェクターも奥が深い世界ですね。

'60s JENNINGS GROWLER ?! REPEATER ?! SOLD

少々前置きが長くなりますが、英国のアコーディオン・プレーヤーでオルガン・プレーヤーのトム・ジェニングスとギタリストで電気技術者のディック・デニーが'56年に創立した「Jennings Music Industries(JMI)」は、VOXと代理店契約を結び'58年頃よりVOX製品のプロデュースを始めました。ギター・アンプAC15、AC30の好セールスでJMIは一躍トップ・グループにのし上がりました。もちろんその陰にビートルズの絶大なる活躍があったことは言うまでもありません。その後'64年に権利を同じ英国のロイストン・グループに売却。ジェニングスとデニーは新たに「Jennings Electronic Developments(JED)」をスタートさせ、Glowler(wah/fuzz)、Repeater、Fuzz、Wah-Wah、Hi-Lo Boost、Harmonic Boost、Siren Foot Control(wah,fuzz,and siren effects)、Scrambler(volume/wah)といったユニークなエフェクターを発売しました。その特徴は扇形のボディにロータリー・コントロールという共通の仕様です。

といったところで、GROWLERの登場です! 早速音出し! 、、、ん(・・;) あれ?!GROWLERってワウ・ファズだよな、、げげ(◎◎;)「トン、トン、トン、、」って音がリピートしてますぞ!! まさか故障? 回路チェック。中見てビックリ!!ワウらしき回路なんて全然入ってないないじゃん! プロの技術者に調べてもらいましたが、回路的には全く正常だそうです。もしかして改造?それにしては整然とした回路に時代相応の古いパーツ類、、う~ん、何せ30年以上も前のモデルだし、ほとんどお目にかかれない代物!あくまでも推測になってしまいますが、当時のラインナップに存在する "Repeater" というモデルではないでしょうか?!何らかの事情により、GROWLERのケースを流用したのでは?!自分的にはそう思いたいのです。何故かというと、その得られるサウンドの味のあること!効果としてはトレモロに近い感じで独特な回転感が出ます。出音もマイルドで太いし、ダラス・アービターのトレム・フェイス以来の感動!!

 コントロール系はフット・スイッチ”W”がエフェクトのオン・オフ、”F”がロー・パス・フィルターのオン・オフです。そしてディレイ・タイム(スピード)調節はロータリー部につま先や踵を乗せてツイスト!!楽しいじゃございませんか、この奇抜な発想!(^o^)/

'80 musitronics C-200 VOLUME-WAH PEDAL "N.O.S."SOLD

次は見るからに高級感漂うミュートロンの製品です。ミュートロンと言えば、やはり世界最強のエンべロープ・フィルター「MU-TRON III」!! ですが、今回ピックアップした「C-200 ヴォリューム / ワウ・ペダル」もミュートロンらしく個性的なモデルです。しかも奇跡の未使用新品!!(◎◎;) ご存じの方もいらっしゃると思いますが、第42回グラミー賞で史上最多タイの8部門を制覇し、ますます元気なスーパー・ラテン・ロック・ギタリスト”カルロス・サンタナ”の足下でお馴染みのエフェクターなのです。

これにて全4台のご紹介はおしまいです。いかがでしょうか?あなたの心を揺さぶるほどの逸品はございましたか。文面、私のつたない説明だけでは良く解らないと思いますが。ご興味のある方は是非、店頭にてお試しくださいませ!(遠方の皆さま、ごめんなさい。) ほんと昔のエフェクターってシンプルだけど、ユニークなものが多くて私は興味が尽きませんよ。じゃじゃ馬ばかりだけど、そこがまた可愛いじゃないですか(^o^)。

 また面白いものが入った際には、このページにてご報告したいと思っております。近頃はイラク戦争や北朝鮮問題とかイヤな話題ばかりですけどね、ここではそういう政治的なことは抜きにして脳天気に突っ走りたいと思っています。

 

 

 

第九話 エレハモ BIG MUFF π 特集編

こんにちは!いかがお過ごしですか?それにしても、やっと暖かくなってきたと思ったらいきなり暑いじゃん!(;^_^)A 汗っかきなもんで、ちょっとギター弾くと一日で弦が錆びちゃう。まったくそのたんび弦交換なんてした日にゃ、たちまちボンビになってしまいます。

今回はエレクトロ・ハーモニクス社の”BIG MUFF π”を取り上げてみたいと思います。ちょっと前に私の長年の愛読誌であるギター・マガジン誌もエレハモの特集をしてましたね!エレハモの数多いラインナップの中でも代表的機種であり、高い人気を誇るBIG MUFF π。ご存じの方も多いと思いますがファズです!30年程前にデビューして以来、数度のモデル・チェンジを経て現在に至るまでのロングセラーを誇ります(一時製造中断はありますが)。今は亡きカート・コバーンが初期のニルヴァーナで使用したのを初めとして、90年代初頭のグランジ・シーンを席巻したのも記憶に新しいところです。ん、もうかなり昔のことかな(^^;)?!最近はと言えば、モグワイやKOЯNの使用が知られていますね。

 マイク・マシューズ氏率いるエレクトロ・ハーモニクス社の技術者ボブ・マイヤー氏によってデザインされた最初のBIG MUFF πは、'71年に誕生しました。それまでの荒々しいばかりのファズと違って、豊かなサスティーンとハーモニクスを持ち、ソフトでスムースなディストーション・サウンドが得られました。かのジミ・ヘンドリックスは、N.Y.の楽器店”マニーズ”にて購入、なんと自分のBIG MUFF πを”ジミー・ジェームズ”と名付け、セッション・ワークで使用したという逸話もあります。また、カルロス・サンタナはメール・オーダーによって手にしていたそうです。

 今回は、'84年頃にマシューズ氏が会社を売却するまで(90年頃ロシアにて製造再開。現在はUSA製も復活!)にリリースされた第1期~第3期型までをご紹介します。ただし、細部に関しては非常に多くの仕様が存在するので、今回取り上げるものが全てではないことをご承知くださいませ。また個体差的なものもありますので、サウンドの方はあくまで参考程度にして頂ければ!!

 現在、特に1期や2期のモデルは非常に入手が困難になっています。

BIG MUFF π E'70s (1st Triangle Knob/蛇の目基盤,ポイントtoポイント配線)

'71にリリースされた初期型('71~73頃)です。つまみの配置から、通称”トライアングル・ノブ”と呼ばれています。こちらは極めてレアな最初期のまだプリント基板を採用する前のプロト・タイプとも言える仕様です。蛇の目基盤にパーツがセットされ、各パーツの足同士が直接半田付けされ結線されています。オン/オフのスライド・スイッチでなく、スイッチ付ボリュームという仕様です。他の2つのつまみもSUSTAINとTONEでなく、SUSTAINとFUZZになっています。

 第2期以降のBIG MUFFしか試したことがない方は、さぞかしサウンドの違いに驚かれることでしょう!BIG MUFFらしからぬ?!と言うか、言い換えればまさにファズらしい太い荒々しいサウンドです。たぶん、これと比較すれば後者はディストーションと言っても過言ではないかも知れませんね(笑)。FUZZつまみを下げるとチーチーの壊れたラジオみたいな音で極端にコンプレッションが掛かり、まるでノイズ・ゲートが効き始めるようにサスティーンが終息(収束?)します。上げるとブバーっとサスティーンのあるローの強い太い音。爆音!!

BIG MUFF π '72 (1st Triangle Knob) 

'72年製の”トライアングル・ノブ”です。前者ほどの癖はなく、セカンド・モデルよりもローが強く太さを感じます。荒さと滑らかさがいい感じに同居してます。使いやすそうで、個人的には一押しかな(^^)。

 

 

 

BIG MUFF π EH3003 '76 (2nd Lamb's Head) w/box "MINT" SOLD

すばらしいミント状態の第2期('73~76頃)モデルです。ボディーにデザインされた女の人の顔が羊の顔に見えるところから、通称”ラムズ・ヘッド”と呼ばれています。最近では”ゆらゆら帝国”の坂本慎太郎氏が愛用されていたせいか人気が急上昇しています。稀に青文字のモデルも存在します。

 適度に暴れる感じで、音圧もあり図太くサスティーン豊かなサウンドです。第3期ほどハイがきつくなくミッドにピークがあってメローな甘さも感じます。ちょっとブルージー!

 

 

BIG MUFF π EH1322 '77 (3rd Version) SOLD

第3期('76~84頃)のモデルです。現在同じような外観の復刻版もリリースされているので、たぶんBIG MUFFの中でも一番お馴染みのデザインではないでしょうか。後期のものにはオペアンプIC仕様のものも存在します。

 ハイがかなり強くて、逆にローはスッキリしています。結構ヒステリック!歪みも滑らかで激しいコード・ワークにも潰れることなくエッジの効いたサウンドです。

 現在復刻されているUSA BIG MUFF πはこの第3期の外観デザインを採用していますが、さらにLEDが装備され、トーンのバイパス・スイッチは廃止されて、回路的に第2期以前のモデルに近くなっています。

 

どうですか?なんとなくわかりました?(^^;) 最近のエフェクターに比べると、ちょっとチープ?弁当箱みたいなケースもハンドメイドっぽくて可愛いっしょ?!今回は残念ながらもれましたが、'90年代に出ていた初期のロシア製(★SOVTEK)のBIGMUFF πも人気があり、少しずつ市場価格も高騰してきています。MXRと並び、'7~80年代を代表するエフェクターと言えるエレハモ!!常にその時代の音楽と切り離せない存在であり、現在も新しいフォロワー達が増殖中です。

余談ですが、友人ら主催のライブが大久保HOT SHOTにおいてありまして、少し時間をもらい数曲やらせてもらいます。今回はほとんどハノイ・ロックスのカバーなんですが、あっしがギター、ボーカルはアコースティック売場の井本です。メインの"ドランカーズ・パウワウ"の他、数バンド出演、セッション・タイムなんかもあるようなんで、お暇でしたら是非遊びに来てくださいm(__)m。

 

 

第十話 おがちゃんの"魔法の小箱"編

ワウとファズ

ビンテージのワウとファズを組み合わせるとワウの効きが悪いことがあります。これはファズの入力インピーダンスが極端に低いからで、間にバッファー・アンプを噛ませると解決します。

  

ブースターと歪みもの

 構造的には、純粋に音量のみ(歪みなしで)を上げるものをブースターと呼びます。しかし、オーバードライブ・エフェクター等を用いてアンプに負荷を与えオーバードライブ・サウンドを得る場合など、広義でブースターとして解釈する場合もあります。

 

 

バッファー・アンプ、インピーダンス

 

パッシブ(プリアンプを搭載していない)のエレキギターはハイ・インピーダンス出力です。一般にギター用エフェクターはハイ受け、ロー出しが基本ですが、エフェクターの入力インピーダンスが低いと音が痩せます(ハイ落ちします)。

バッファー・アンプはハイ・インピーダンス信号をロー・インピーダンス信号に変換します。ロー・インピーダンス信号はノイズなどに強く劣化しにくいので長いシールドの取り回しに有利です。

 

トゥルー・バイパス

 

例えばBOSSコンパクトなどの電子スイッチを装備したエフェクターはON/OFFに限らずバッファー回路を通ります。単体ではほとんど気にならないのですが、沢山のバッファー回路内蔵エフェクターを直列接続すると音色が変化したり音痩せを招きます。

トゥルー・バイパス式のエフェクターはバイパス時に一切回路を通らずサウンドの変化を最少にします。最近はトゥルー・バイパス式が増えていますが、全てOFFにした際は信号がロー・インピーダンスに変換されないのでノイズなどには注意が必要です。

ボリュームペダルの位置

 

ギターとアンプの間に複数のエフェクターを接続しているとして、一番ギター寄りにボリュームペダルを接続した場合はギター本体のボリューム・コントロールと同様に作用します。逆にエフェクターの最後尾に接続した場合はエフェクターでつくったサウンドを変えることなく最終的な音量をコントロールできます。ただし、ディレイマシンよりも後段だと不自然に残響が切れてしまいがちなので、その前が良いでしょう。

ボリュームペダルにはBOSSのFV-50H、FV-50Lのように入力インピーダンスが違うものがラインナップしているので用途に合わせてセレクトします。

ブースターと歪みものの接続順

 

ブースターの効果として、ディストーションなどの歪みものの前にブースターを接続した場合は、ブースターONで歪みものがブーストされ歪みが深くなります。逆に歪みものの後にブースターを接続すると音量が大きくなります。ただし、アンプが負荷によって歪みやすいセッティングではアンプの歪みが増えるだけで、充分に音量を上げることはできません。

コーラス、フランジャー、ディレイ・マシン

コーラスやフランジャーも基本的にディレイとしくみは同じです。どちらもショート・ディレイにモジュレーション(揺れ)を加えたものです。後者のフランジャーはコーラスよりアクが強くなっています。コーラスやフランジャーは、一般的にディレイタイムが長くなるほどエグさが増します。

 

トレモロ、ビブラート

 

どっちも揺れ系だけど違いって何?って思ってる人が意外に多いのでは?!

トレモロは音量の変化によるもの、ビブラートは基本的にピッチ(音程)の変化によるものです。トレモロには三角波(連続した音量変化)と矩形波(断続した音量変化)によるものがあります。後者は早くするとマシンガン的効果が得られます。

ディストーションとオーバードライブ

 

ディストーションは奇数次倍音を多く含むもの、片やオーバードライブは偶数次倍音を多く含むものなどと分類されたりしますが、最近は構造的により複雑になってきていて、名称はイメージ的なものとして捉らえた方がよいですね。

 

 

ローパス、ハイカット・フィルター

 LAメタルの申し子RATのFILTERコントロールは通常のトーン・コントロールとは異なり、右に回す程に高域成分が削られるハイカット(ローパス)・フィルターになっています。つまり、ミニマム(最小)位置が全開です。。

 

 

 

アルカリとマンガン電池

よく「ファズにはアルカリよりマンガン電池の方が良い。」なんて耳にしますが、アルカリ電池は寿命が近づくと急激に電圧が降下する特性を持っています。それに対し、マンガン電池は少しずつ電圧が降下していきます。その電圧が少し下がった頃のサウンドが良いというミュージシャンの話が広まったものだと思いますが、実際どちらが良い悪いかはさておき電圧降下でサウンドは微妙に変化します。

ディスクリートとIC

 

エフェクターにはディスクリートといってトランジスタだけで構成された回路とIC(集積回路)を使った回路があります。ICは沢山のトランジスタを一つのチップにまとめたような構造で、一昔前は単体のトランジスタを並べたものに較べサウンドのクォリティが劣っていました。ですが4558などハイクォリティーなICの出現で状況は変わりました。またハイファイ指向のオーディオなどと違い、IC固有の特性の違いによる音の個性が歪み系エフェクターのキャラクターをつくり出しています。

インチとミリ

 

多くの場合、国産エフェクターにはミリ規格、輸入エフェクターにはインチ規格のジャックが採用されています。極わずかな寸法の差ですからほとんど問題がなさそうですが、インチ規格ジャックと国産ミリ規格プラグ付きのシールドケーブルの組合せによる接触不良のトラブルは多く見受けられます。トラブる前に確認しておいた方が良いですよ!

Maxon、Ibanez

 

どちらも日伸音波のブランドです。Ibanezはもともと輸出用ブランドで、GRECOギターの輸出用ブランドとしても知られています。オーバードライブの名機として名高いビンテージIbanezチューブスクリーマーTS808やTS9は、マクソンOD-808、OD-9と基本的に中身は同じなのです。

 

OEM

 

「OEM/相手先ブランド製造」ということは、エフェクターの世界では昔から多く行われています。これは製造メーカーが供給先のブランド名で製造するシステムで、古くはVOX、JEN、THOMAS等に始まり、Shin-eiやKORG(京王技研)等とUnivox、80年代のKORG KESシリーズとYAMAHA 01シリーズなど、沢山のケースがあるのです。

ビッグ・マフπ

相変わらず人気の高いマフですけれど、ところでマフってファズ?ディストーション?サウンドが素晴らしいのだから、どちらでもよいのかもf^_^;?!

第1期"トライアングル・ノブ"は70年代前半に登場しました。サウンドも含め時代的にも正真正銘のファズです。その後、"ラムズ・ヘッド"以降粒立ちがより細かくロング・サスティーン化していきました。近年のファズ・ファクトリーなどの過激なファズと較べると、マフはディストーションとも言えるかも知れませんね。

ファズ・フェイス

 

'66年後半に登場したオリジナル・ファズ・フェイスに搭載されているゲルマニウム・トランジスタはNKT275です。60年代末頃にはBC108に、70年代以降はBC109に変わりますが、これらはシリコン・トランジスタで環境変化によるサウンドへの影響が少なく、より激しい歪みが得られます。

 

AD-900、前期/後期

 '90年代のものと2002年頃以降のものは搭載されるBBDチップが違います。前者はMN3005を2基、後者はMN3008を4基搭載しています。そのBBDの違いによるものなのか、基板上の半固定のセッティングなのか、フィードバックが弱めで発振しない前期型に対して、後期型はフィードバックが強めで発振させることも可能です。

 

 

 

ケンタウルス/CENTAUR

 最近はすっかりビンテージ並の風格を備えた絵柄入りケンタウルス。言うまでもなくブースターとして名機の名を欲しいままにしています。発売された94年から既に15年近く経ちますが、基本的に仕様が変わらないのは完成度の高さを示します。長期に渡り製造されているにも係わらず、生産台数の少なさは今だ慢性的な品薄を呼んでいます。

発売時より並行してサンドキャストのゴールドとシルバーの仕様がありますが、シルバーはSで始まるシリアルナンバーを持ち、生産台数はかなり少なめです。有名な馬の絵柄は98~9年頃に微妙に変化します。そして近年、絵柄のない仕様となりました。噂では絵柄のデザイナーさんがKLON社を離れたためだそうです。

MXR

 お馴染み、Distortion+、DynaComp、Phase90など高性能コンパクト・エフェクターの先駆けであるMXRの外観デザインの変貌です。

 

 

[最初期73~5年頃]
BUDの軽量アルミダイキャストケース / スクリプトロゴ(筆記体) / 刻印なしバックパネル
[76~7年頃から]
MXRオリジナルダイキャストケース / スクリプトロゴ / スクリプト刻印バックパネル
[77~8年頃から]
同ケース / ブロックロゴ / スクリプト刻印バックパネル
[80年頃から]
同ケース / ブロックロゴ / ブロック刻印バックパネル
[82~3年頃から]
艶消しケースにDCジャック(アダプター用)とLEDインジケーターが装備されます。その後MXRはジム・ダンロップに売却されます。
[87年辺りから]
ジム・ダンロップにより生産されます。90年代中頃まではオリジナル最終仕様と基本構造は似ていましたが、近年は基板一体のポット、スイッチ、ジャックなどかなり仕様が変わってきています。

ACAとPSA

 

BOSSエフェクターって対応するACアダブターは2種類あるんです。黒いラベルのACAと赤いラベルのPSA。対応するアダブターは、ACアダブターのジャック横あたりか底ラベルに表記されています。

結構無頓着に使用している人が多いのだけれど、実は重要なのです(-_-;)。ACAアダブター対応エフェクターに現行PSAアダブターなどDC9Vタイプを接続しても正常に動作しないのです。PH-1など一部のモデルでは動作すらしないのです。たとえ動作したとしてもLEDインジケーターは暗く光り、出音も歪んでしまったり正常に動作しないのです。実はACAアダブターはDC9Vと明記されてはいるのですが、実際13.2Vほど出ています。これはACA対応モデルは、エフェクター内部で9Vに減圧する構造になっているからなのです。 つい先日もCE-2を長年PSEアダブターで駆動させていた知人が正しいACAアダブターで使用したところ、あまりにサウンドがクリアになり感激しきりでした。。

ACAとPSA パート2

 

ちょっと複雑で不安になるBOSSエフェクターのアダブターですが、覚えておくと便利なTIPSがあるんです。

BOSS PSM-5、LS-2、TU-2にPSAアダブターを接続し、専用の8PINパラケーブルで個々のBOSSコンパクトに電源を供給すれば、ACAとPSA、双方の駆動がOKなのです。またPSAアダブターとDC-DC2パラケーブルで2台のBOSSコンパクトに電源を供給する場合はPSA対応品とACA対応品を一緒に使用すれば問題ありません(ACA対応品2台はNG)。どちらのケースでも使用するコンパクトは互いにシールドで繋がれ、アダプターの許容電流内で使用しなければなりません。

ACAとPSA パート3

 

パート2で記述したTIPSの応用で、ACA対応モデルを一般的なDC9V仕様のパワーサプライ・ユニットで駆動させる裏技です。

例えばCAJ AC⇒DC STATION等の各供給端子が個別レギュレートされていないパワーサプライは、ACA対応モデルを駆動させることが可能です。ただし、同じサプライ・ユニットから電源供給する一般的なDC9Vエフェクター(PSA対応BOSS製品他、他社製品でもOK)とパッチケーブルで接続して同時使用することが前提となります。

VOODOO LABのPEDAL POWER 2は、内部DIPスイッチの切り換えでACAにも対応して便利です。PSE法施行後、一時国内供給が止まっていたようですが、リニューアルして再発売されています。

OD-1、クワッドとデュアル・オペアンプ仕様

 

オーバードライブのスタンスを確立した名機OD-1。初期物は搭載されたオペアンプがレイセオンRC3403、NECμPC4741のクワッド・オペアンプが搭載されていましたが、すぐに4558のデュアル・オペアンプに仕様変更されました。

どれも甲乙付けがたいサウンドを持ちますが、特に初期レイセオン搭載品はローがタイトでトレブルの強いサウンドです。

初期BOSSコンパクトのLEDインジケーターはバッテリーチェッカー?!

 クワッド・オペアンプ仕様OD-1など、70年代BOSSコンパクトのLEDインジケーターはON/OFFで点滅表示しません。フットスイッチを踏み込んだ時に瞬灯して明るさでバッテリー消耗具合を示します。

CH-1、CE-5

 

どちらも、もともとアナログ・コーラスでしたが、搭載したBBDチップのディスコンにより、こっそりデジタルに仕様変更されています。サウンドがほとんど変わらないため気が付く人が少ないのですが、BOSSの技術力には脱帽です。

でも比較すると、アナログ版は音に深みがありますね。デジタル版はサウンドがクリアで、また別の魅力がありますが。底のラベルがブルー、ピンクのものはアナログ仕様です。初期のグレー・ラベルの個体にもアナログ仕様が見られます。。

Koch PDT-4 Pedaltone

 本格的フロアタイプ・プリアンプのPDT-4には、計4本の12AX7真空管が装着されています。左からクリーンCh、ドライブCh、ブースト用、パワーアンプ用です。2番目のドライブCh用チューブにはマイクロフォニック対策で12AX7WAを使用するようになっています。

 

 

A/Bボックスの裏技

 

ROCKMANのディストーション・ジェネレーターとステレオ・コーラスなどの2台のモジュールを交互に切り替える(片方がON、もう片方がOFF)裏技があります。

一台のモジュールのON/OFF端子とA/BボックスのA-OUTを、もう一台のモジュールのON/OFF端子とA/BボックスのB-OUTをそれぞれシールド・ケーブルで接続します。そしてA/BボックスのINPUT端子にショートさせたダミー・プラグを差します。するとA/Bボックスのスイッチの切り替えで2台のモジュールが交互に動作(ON/OFF)します。

これはA-OUT、B-OUTがそれぞれ接地(アース/グラウンド)、非接地の状態となりスイッチングする仕組みです。これでドライブ・サウンドとクリーン・コーラスを一瞬で切り替えることが可能です。また、応用で"Y"コードを使用すれば一つのフット・スイッチで2台同時にON/OFFすることも可能です。

MIDI非対応のエフェクターならではアイデアですね。実はROCKMANのマニュアルで紹介されているのです。ROCKMANに限らず、覚えておくと役立つ場面もあるかも知れませんよ。

アナログ・ディレイとデジタル・ディレイ

アナログディレイはBBD(バケット・ブリゲイド・デバイス)という遅延素子で遅れた音をつくり原音とミックスする仕組みです。"バケット・ブリゲイド・デバイス"を訳すと「バケツリレー素子」で、BBD内部ではバケツリレーのようにバケツからバケツへと水(音)が運ばれていきます。想像してください、バケツの数が多くなるほどディレイ・タイムが長くなります。次のバケツに移す際に少しずつ零れて後に伝わるほど水の量が減っていきます。これがアナログ・ディレイの特徴をつくります。リピート音は少しずつ劣化して高域が落ちマイルドな(言い方を変えれば篭った)音色となります。

デジタル・ディレイの仕組みは省略しますが、ほとんど完璧な(劣化のない)リピート音が再生されます。時に音質が硬く(冷たく)感じられる場合もあり、ハイカット・フィルターを装備してマイルドな音色をつくるデジタル・ディレイもあります。

太く温かみがあり、どこかノスタルジックなサウンドのアナログ・ディレイも魅力的ですが、クリアなリピート音、超ロングディレイ、タップディレイ、リバースディレイなどを可能にするデジタル・ディレイにはまた違った大きな魅力があります。用途、お好みに応じてチョイスするのが大人かな?!

アナログ系とデジタル系の電源分離

 足下のエフェクターも数多くなってくると電源系ノイズも気になります。多くの人がパワー・サプライから電源供給していることと思いますが、一般的なパラレル出力のサプライですと、デジタル・エフェクターとアナログ・エフェクターを併用した場合にアナログ・エフェクターにデジタル・ノイズが被ってしまいます。贅沢ですがアナログ系とデジタル系エフェクターは、電源を分離した方がベターです。

パワー・サプライのトラブル

 

特に最近のデジタル・エフェクターは消費電力(アンペア)が非常に多く、電力不足による誤作動を防ぐ為にパワー・サプライの許容内で使用するよう注意しましょう。また、パラレル出力のサプライでは一つのエフェクターがショートすると、接続された全てのエフェクターが動作しないばかりでなく最悪故障してしまう危険もあります。そのトラブルを未然に防ぐ為、ショート保護回路が組み込まれたパワー・サプライもあります。

ボリューム・ペダルの選び方

 昔ながらの構造のボリュームペダルではポット(可変抵抗)とペダルをビニールや繊維等のワイヤーを介して連動させています。そして、ペダルを最も上げた時、最も踏み込んだ時にポットの開閉に多少のマージンを持たせています。これは回り切ったポットに過度の荷重が掛かり破損することを防止しています。ただし、これによりポットが完全に全開、全閉にならず、若干の音量下がりや音漏れを招いている場合があります。

BOSS等、ポットとペダルの連動にクランクを介しているボリュームペダルもあります。クランクの一部に逃げを設けることで、ポットへの過度の荷重を防ぎつつ、ほぼポットの全開と全閉を実現しています。

またMORLEY等、光学素子を使用して電気的にボリュームをコントロールするペダルもあります。これはポットの摩耗や埃によるガリ・ノイズの発生を無くします。

昔ながらのワイヤー式は程よく重みのあるペダルや頑強な筐体により現在でも安定した人気を保っているようです。使用しているポットの抵抗値やバッファーの有無によるサウンドの変化、踏み心地(可変カーブ、トルクや踏み代)、耐久性、サイズ、重量など、実は大変奥が深いボリュームペダルです。

使用するギターがアクティブかパッシブなのか?ハムバッキングPUなのかシングルPUなのか?エフェクター配列における接続箇所は?先ずは何より、用途に最適なタイプを択ぶことが大切ですね。

 

 

 

 昨今のブティック・エフェクターやモディファイ・モデルの隆盛には驚かされます。皆さん、ご存じのように、毎年、毎月、まさに星の数ほどと言ったら大げさでしょうか?
世界中から数多くのニュー・モデルがリリースされています。特にオーバードライブ系のペダルにおいては著しいものがあり、ハンドメイド系の走りとも言えるKLON CENTAURやFulltone FULL-DRIVEに始まり、モディファイ物の流行を呼んだKeeleyやANALOG.MAN、マニアックなラインナップを誇るLovepedal、3モード系ODという新たな定番を確立したLANDGRAFF DYNAMIC OVERDRIVE、そしてFUJIYAMA DRIVE他、多くのヒットモデルを送り出した国産の雄HSW、、、、挙げていけば全くもってキリがありません/(^_^)。

 そんな風潮の一つの源となったのは、 '70年代末に発表された"TS-808 TUBE SCREAMER"ではないでしょうか? '79年から '81年頃まで生産されたTS-808(国内版OD-808)は、豊かなミッドレンジを持ち、原音に心地よい倍音と絶妙な具合のコンプレションを付加することで、マイルド且つ艶やかなドライブ・サウンドが得られます。スティーヴィー・レイ・ヴォーンを始めとして、多くのプロが挙ってTS-808をチューブ・アンプのブースターとして活用したのです。国内版OD-808の当時の定価は9,000円(初期ナロー・ケース仕様7,500円)でした。 '82年頃にはTS9(~ '84)へモデルチェンジされました。基本的な回路は同じだったものの、いくつかのパーツが変更されたため、微妙なサウンドの変化を呼びました。その後、TS10( '86~ '93)、TS5( '91~ '99)と世代が変わりましたが、オリジナル・チューブスクリーマーTS-808(4558系)サウンドを求める声が多く、TS-808の研究家として著名なANALOG.MAN氏を始めとする新興メーカーが挙って、モディファイ品やリスペクト・モデルに力を注いでいきました。現在では本家Ibanezからも復刻品が販売されるに至っています。

 そんな世界に名立たる名機TS-808のライバルは、TS-808に少し先駆けて、 '77年10月に発売されたオーバードライブOD-1です。ジェフ・ベックがステージで使用して”マーシャル・サウンドのようだ”などと絶賛、現在のオーバードライブ・ユニットの元祖の誕生です。それまでのMXR Distortion+などのハードな歪みに対して、OD-1の音はもっとナチュラルで、「ディストーション」に対して「オーバードライブ」という新たなカテゴリーを確立したのです。既にIbanezからも海外向けに"OD-850 Overdrive"、"OD-855 Overdrive II"といったモデルがリリースされてはいましたが、このOD-1の登場はエフェクター史上において、まさにエポック・メーキングでした。国内での販売期間は '77年10月から '85年7月、リリース当時の定価は8,500円でした。その後の定価改訂で9,000円になっています。ただし、ロットNo.や海外輸出品の付属英文マニュアルの印刷デイトなどから、海外向けにはCE-2と共に '80年代終わり頃まで生産されたようです。非対称オーバードライブ・サーキットを採用し、チューブアンプをフルアップさせたようなマイルドで生々しいサウンドは画期的でした。滲み出るような豊かな倍音とロング・サスティーン、何よりピッキングのニュアンスやフィンガリングのタッチを殺すことなく、ロックは元よりフュージョン・ジャズ系のギタリストにも好評を得ました。ミッドレンジに集約されたサウンドはマーシャルなどのスタックアンプと相性が良く、ブースターとして秀逸でした。

 

 

 日伸音波製作所(Maxon)により、'79年から'81年頃まで生産された海外向けモデルです。国内向けには"Maxon OD-808 OVERDRIVE"としてリリースされました。当初より通称"キャラメル・スイッチ"と呼ばれる"Q-1"FETスイッチが装備されています。



 初期の欧州向けナロー・ケース仕様は、ポピュラーな後期ワイド・ケース仕様と異なった回路を持ち、OD-801(D&S)の基板に初期のデュアル・オペアンプであるモトローラのMC1458P(OD-808ではテキサス・インストゥルメンツのUA 1458Cも確認)が2基搭載されています。また、DCジャックはINPUTジャックの横に装備されています。後期ワイド・ケース(TL4558P)仕様と比べたところ、意外ですがサウンドはとても似ています。MC1458P搭載品は若干ハイが控えめで、マイルドでしっとりとしたサウンド。対してTL4558P搭載品は乾いた感じのサウンドです。

ナロー・ケース仕様のTS-808とOD-808

OD-808 (MC1458P) Ca. '79

欧州向け仕様と違いフラットなケース。内部回路は基本的に共通で、基板にはプラスティック製のカバーが装着されている。



 後期ワイド・ケース仕様は、100000番から始まるシリアル・ナンバーを持ち、日本無線のJRC4558D、テキサス・インストゥルメンツのRC4558P(マレーシア製)、一部にその改良型であるテキサス・インストゥルメンツのTL4558Pが搭載されています。RC4558P(通称マレーシアン・チップ)搭載品は、レンジが広く、エッジが効いていて輪郭がくっきり、ローが強くハイも伸びています。コンプ感は強めで、時に和音を弾いたときに若干の音の暴れを感じます。ダイナミックで一番へヴィーなサウンドです。JRC4558D搭載品は、ミッドにレンジが集約していて、マイルドで艶があります。スムーズで上品なサウンドですね。TL4558P搭載品は、JRCに近いのですが幾分ローがタイトな印象でした。

 

国内仕様のMaxon OD-808

 

TS-808 #116965 (RC4558P) Ca. '80

初期の外観的な特徴として、"Ibanez"ロゴの右上に(R)マーク(登録商標マーク)が入り、"TS-808"と型番にハイフンが入り、DCジャック部に固定ナットが付いている。茶色の紙製絶縁シートの採用、コントロール・ノブ周りに目盛りがない等あります。

TS-808 #145621 (TL4558P) '80~'81

DCジャック部の固定ナット廃止、黒色のプラスティック製絶縁シートの採用。

TS808 #163060 (JRC4558D) Ca. '81

"Ibanez"ロゴの右上に(R)マーク(登録商標マーク)がなくなり、コントロール・ノブ周りに目盛りが付けられています。

 

下記は、今までにTHE中古楽器屋が取り扱ったTS-808の個体データを表にまとめました。
※印の個体は仕様がイレギュラーなのでシャーシ(S/N)交換の可能性あり。


 

 

 

商品に添付されていた冊子、"BOSSエフェクター事典VOL.1"より

 初期OD-1の回路にはクワッド・オペアンプが搭載されました。極初期、ロットNo.6400あたり~8400或いは8500に搭載されたレイセオンのRC3403ADBとNo.8600~8800に搭載されたNECμPC4741Cです。また、一部にテキサス・インストゥルメンツのUA3403PCも見られます。LEDインジケータはバッテリー・チェッカー専用でした。No.8900あたりからデュアル・オペアンプに仕様変更され、同時にLEDインジケータがON/OFF表示されるようになります。No.260000~270000あたりまではNEC C4558CかJRC4558D、以降JRC4558DDが搭載されましたが、一部テキサス・インストゥルメンツのTL4558P等も見られます。'80年代初頭、No.0400~0500あたりで銀ネジから黒ネジに変更されます。その後、主なところではOD-1の文字位置やロゴ自体の太さ、ポット&コントロール・ノブの形状などが変更されています。

 クワッドOP搭載品でも、RC3403ADBとμPC4741Cでは同じモデルと思えないほどサウンドが違います。RC3403ADB搭載品は、ローがタイトで、ハイが充分出ていて、ブライトなサウンドです。ハムバッカー・ピックアップ向きだと思います。μPC4741C搭載品は、RC3403ADB搭載品に比べ、ロー・ミッドが豊かで、ハイは控えめで、ファットなサウンド。どちらかというと、シングルコイル・ピックアップ向きだと思います。デュアルOPのNEC C4558C搭載品は、明らかにμPC4741Cの流れを汲んだサウンドです。μPC4741Cよりさらにローが強く、ヘヴィーなサウンドです。

クワッド・オペアンプとは、4個のOPアンプをひとつのパッケージ内に内蔵したオペアンプです。

デュアル・オペアンプとは、2個のOPアンプをひとつのパッケージ内に内蔵したオペアンプです。

OD-1 #8000 (052-281B/RC3403ADB) '78

FETスイッチが透明で外バネ式、基板には大型のクワッド・オペアンプを搭載。紙製の絶縁シート、銀ネジ(コイン・スクリュー)を採用。

OD-1 #8700 (052-281B/NEC μPC4741C) '79

過渡期なのかFETスイッチが色と形状が特殊です。#8000とは電池スナップの引き出し位置も違います。品質の安定性に難のあったレイセオンに代わり、NECのクワッドOPに変更。

OD-1 #9600 (052-281D/NEC C4558C) '79~'80

FETスイッチが現行品と同様なものに変更。基板には小型のデュアル・オペアンプを搭載。絶縁シートはプラスティック製に。

OD-1 #262200 (NEC C4558C) '82

ロットNo.はラベルでなくスタンプで入れられ、底のラベルには「Roland JAPAN」と入る。黒のサム・スクリュー採用。本機の回路基板は、MADE IN TAIWAN。

OD-1 #922512 '89

「OD-1」の文字位置が変わり、コントロール・ノブとポットも現行と同じタイプに。ロットNo.ラベルがバッテリー・キャビティ底部に貼られている。海外に輸出された個体で、付属の英文マニュアルに記載されたデイトは「May. '88」。

下記は、今までにTHE中古楽器屋が取り扱ったOD-1の個体データを表にまとめました。

製造年

ロットNo.

印字

スクリュー

基板

OP-IC

FETスイッチ

その他

 

6900

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

黒色

ボトムパネル

'78

7400

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

7700

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

7800

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

'78

8000

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

'78

8000

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

8200

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

8200

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

8200

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

8200

スタンプ

銀ネジ

N/A

UA3403PC

透明/外バネ式

 

'79

8300

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

8400

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

透明/外バネ式

 

 

8400

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

透明/外バネ式

 

 

8600

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8600

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8700

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒白/内蔵バネ式

 

 

8700

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8700

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8700

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8800

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8800

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

9100

スタンプ

銀ネジ

052-281B

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

9200

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

9200

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

9300

スタンプ

銀ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

9400

スタンプ

銀ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

9500

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

9500

スタンプ

銀ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

9600

スタンプ

銀ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

9700

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

'80

9900

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

#0000

スタンプ

銀ネジ

052-281D

TL4558P

黒/内蔵バネ式

 

 

#0200

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

#0600

スタンプ

銀ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

#080200

ラベル

黒ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

#089500

ラベル

黒ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

'81

113400

ラベル

黒ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

140300

ラベル

黒ネジ

052-281E

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

167900

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

168400

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

168600

ラベル

黒ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

169200

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

170600

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

'82

221300

スタンプ

黒ネジ

052-281E

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

TAIWAN製基板

 

262200

スタンプ

黒ネジ

N/A

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

TAIWAN製基板

"Roland JAPAN"

底面ラベル

 

274300

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

284800

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

296100

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'83

306900

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

327700

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

383500

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'84

456500

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'85

517700

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DX

黒/内蔵バネ式

 

 

528200

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'86

652600

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

653200

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

685400

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'87

767300

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

777800

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'89

911781

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

922060

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

製造年

ロットNo.

印字

スクリュー

基板

OP-IC

FETスイッチ

その他

 

6900

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

黒色

ボトムパネル

'78

7400

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

7700

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

7800

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

'78

8000

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

'78

8000

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

8200

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

8200

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

8200

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

8200

スタンプ

銀ネジ

N/A

UA3403PC

透明/外バネ式

 

'79

8300

スタンプ

銀ネジ

052-281B

RC3403ADB

透明/外バネ式

 

 

8400

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

透明/外バネ式

 

 

8400

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

透明/外バネ式

 

 

8600

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8600

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8700

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒白/内蔵バネ式

 

 

8700

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8700

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8700

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8800

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

8800

スタンプ

銀ネジ

052-281B

NEC μPC4741C

黒/内蔵バネ式

 

 

9100

スタンプ

銀ネジ

052-281B

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

9200

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

9200

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

9300

スタンプ

銀ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

9400

スタンプ

銀ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

9500

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

9500

スタンプ

銀ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

9600

スタンプ

銀ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

9700

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

'80

9900

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

#0000

スタンプ

銀ネジ

052-281D

TL4558P

黒/内蔵バネ式

 

 

#0200

スタンプ

銀ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

#0600

スタンプ

銀ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

#080200

ラベル

黒ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

#089500

ラベル

黒ネジ

052-281D

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

'81

113400

ラベル

黒ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

140300

ラベル

黒ネジ

052-281E

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

 

 

167900

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

168400

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

168600

ラベル

黒ネジ

052-281D

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

169200

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

 

170600

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558D

黒/内蔵バネ式

 

'82

221300

スタンプ

黒ネジ

052-281E

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

TAIWAN製基板

 

262200

スタンプ

黒ネジ

N/A

NEC C4558C

黒/内蔵バネ式

TAIWAN製基板

"Roland JAPAN"

底面ラベル

 

274300

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

284800

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

296100

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'83

306900

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

327700

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

383500

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'84

456500

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'85

517700

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DX

黒/内蔵バネ式

 

 

528200

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'86

652600

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

653200

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

685400

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'87

767300

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

777800

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

'89

911781

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

922060

ラベル

黒ネジ

052-281E

JRC4558DD

黒/内蔵バネ式

 

 

 

OD-1(RC3403ADB)、TS-808(TL4558P)のサウンド比較、総評

 最後に2つの名機を試奏比較してみました。どちらも中域にレンジを持ったオーバードライブですが、やはり独特の特性がありますね。まず、OD-1は高域が比較的出ていて、バリッとしたエッジ感を持ったドライな音。そして、TS-808はTONEコントロールを目一杯上げてもOD-1ほど高域は出ず、マイルドでウェットな質感。個人的には、OD-1はハムバッカー・ピックアップ向き、TS-808はシングルコイル・ピックアップ向きの印象を持ちました。ただし、それぞれ搭載オペアンプが変われば、印象も変わってくるはずです。OD-1はJCジャズ・コーラス(ギターアンプ)に使用しても、生々しいホットなドライブ・サウンドが出ます。さすがBOSS/Roland(^^)v。もちろん、チューブアンプに使用するとその魅力は倍増で、ゲインアップと共にサウンドがいい感じに引き締まります。適度な粗さがあり、エッジ感を失うことがありません。TS-808は、フェンダーのツインとかとストラトやテレキャスの組み合わせはもはや無敵!! 音が滲んで膨らんで、ミッドの太さと高域に倍音が乗ってきて、心地よさに加えて、何とも言えないあま~い色気が加味されます♪ 前述したオペアンプ等の違いによるサウンドの差異もありますし、突き詰めれば、かなり奥深くマニアックな世界があるのです。

 今回ピックアップした2機種は、まさに王道でした。 '60年代から '70年代の外国製ファズ・ペダルが世界を席巻したように、 '70年代後半に日本で生まれたオーバードライブ・ペダルが、世界中で愛され、今なお最新の音楽シーンで生き続けていることを、日本人として誇らしく思うと同時に開発者に敬意を表したいと思います。当店のお客様には、OD-1やTS-808を昔(当時)使っていて、何かのきっかけで新しいペダルを追い続けることとなり、幾度もの試行錯誤や悩みを経験して、またある時、何気なく繋いでみたOD-1やTS-808の素晴らしさに気付いて、再び愛用される方が非常に多いように感じます。ギターやアンプもそうですけど、エフェクト・ペダルなんてただの道具なのに、いい音出た時は心底感動して、ペダルが愛おしく思えたりするから不思議です。えっ、私だけでしょうか?いえいえギタリストなら、きっとありますよね!! 機械でも何かが宿っているのかも知れませんよ。

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