MOSSMAN SUPER CUSTOM by Baxendale

アメリカ・カンザス州の名工"Stuart Mossman (スチュアート・モスマン 1942-1999)"。残念なことに彼は1999年に56歳の若さで亡くなってしまいましたが、仕事の素晴らしさから、現代の製作家たちに最も大きな影響を与えたルシアーの一人と云われいます。
 
カントリーミュージシャンやブルーグラスプレイヤーに愛され続ける"モスマンギター"は、カンサス州ウィンフィールドで1961年にナイロン弦ギターを最初に製作し始めた故スチュワート・モスマンにより設立されました。1968年より本格的に精力的なギター製作活動を行い、1970年代にドック・ワトソン(Doc Watson)も使用するなど、人気を博し、一世を風靡した後に大成功を収めます。
しかし、1970年より大規模な工場生産に切り替えたものの、1975年には、1200本ものギターが災難で没になってしまい、1977年には工場が火事となり、その後事業を縮小します。この事件は今でも"モスマン最大の悲劇"としてアコースティックギター業界で語られています。幾多の災難に見舞われながら、遂に1984年には倒産をしてしまいます。

Mossman 1968年から1984年の16年間で約6000本余りのギターを世に送り出しましたが、モスマンのギターは1968年・1969年製のギターが最も出来が良いと云われており、市場では滅多に見かけることはありません。日本には1976年頃から相当な本数が輸入されましたが、量産期でクオリティ面が懸念される個体が多かったようです。

そして、1986年にブランド名をテキサス州ガーランドのスコット・バクセンデール(Baxendale)に売却されます。1986年以降、バクセンデールが手掛けたモスマンも存在しています。

その後モスマンの名は再び1989年にテキサスのジョン・ケンジー、ボブ・ケーシー両氏に売却されます。1991年にダラスからテキサス州サルファースプリングスに工場を移転、2000年前後までギターが製作されていたことでも知られています。

ジョン・デンバーやエリック・クラプトン、アルバート・リー、ドック・ワトソン、ハンク・スノウ、キャット・スティーヴンス、ダン・クレアリー、マーク・オコナー、ジェフ・ホワイト他多数といった著名アーティストに愛用されたモスマン・ギター。黄金時代には、モデル上の様々なオプションや、豪華なカスタムインレイ彫刻を施したりと、美術品的な要素も併せ持つクオリティの高いギターを製作していました。

今回ご紹介するMOSSMAN SUPER CUSTOMは、ナム・ミュージアムに10年間展示されていたという博物館クラスの逸品です。

MOSSMAN SUPER CUSTOM '88

トップ/シトカ・スプルース、S&B/フレイム・メイプル、フィンガーボード/エボニー、ネック/マホガニー、チューナー/Schallerゴールド、ナット幅/43.8mm、スケール/653mm、カスタム・ハードケース付き 1988年にバクセンデールがダニー・デーベンンポートという人の為に特別に製作したカスタム・モデル。

当時、ワーナー・ブラザーズのプロモーター及びARマンであったデーベンポートのオーダーで、指板にはワーナーの代表的キャラクターであるバッグス・バニーが片手にニンジンを持ってインレイされています。

使用されたパールの総数は3,500個という豪華さ。

ヘッド・ストックのインレイやピックガードの薔薇を見ても、かなり心得のある人物の作品であることが伺い知れます。

ヘッドにインレイされた薔薇の中には、ワーナー・ブラザーズのロゴ・マークが美しく輝いています。

Schaller製ゴールドペグが豪華さに彩りを添えています。

ボディ・トップの左下の蔦の文様は、革の彫り物のように見えますが、実は一つ一つ手で描かれています。この文様の中にもニンジンを手にして寝そべったバッグス・バニーが存在しています。

ボディ・バックに施されたモスマンのロゴも、精巧な寄せ木細工で仕上げられています。

ボディの厚さは、MARTINのトリプル・オーよりも薄く、エレキギターのセミアコ程となっています。

サイドバックにはトラ目が美しいフレイム・メイプルが使われています。

ハードケース外部にはバックス・バニーのカラフルなイラストが描かれています。

ハードケース内部は、ギターを保護するボアの代わりになんとミンクの毛皮が貼られているという超豪華な仕様。

 

その豪華さに劣ることない鳴りもさることながら、全体的なバランスにも優れ、ギターというよりも最上級の美術品として通用する逸品であると表現出来ます。価値のあるプレミアムな1本を是非手にして頂きたいです。